人生こればっか

2006年11月29日 [日記ではない]

【kashmir『○本の住人 (1)』/能田 達規『時間救助隊タイマー3』】

最近出た、ちょっと買うのに苦労した漫画2冊。

○本の住人 (1)
kashmir○本の住人 (1)
kashmirさんの初単行本。「小さい時に両親を亡くしたのりこ(小学4年生)は作家のお兄ちゃんと二人ぐらしです。あまり生活のよゆうはありませんが、何とかお兄ちゃんを支えてがんばってます」と書けばほのぼの四コマ漫画の設定としては充分なのですが、その兄の出す本は『児童向け奇本』などというジャンルで収入的にも人間的にも問題大アリ。しかも兄はプラモとかフィギュアとかを大人買して、家計を更に圧迫するのでした。せめて友達がまともなら主人公も多少は楽が出来たのでしょうがそうは問屋が卸さず、そして先生も大ボケで…。

可愛い女の子とぞんざいな男キャラを描いたら天下一品な画風に加えて、無数にちりばめられた強烈でマニアックなギャグは他の追随を許さないのですが、時々ほろりと泣かせる部分もしっかりあったりして、漫画としてとてもレベルの高い一冊であります。でも、出版社は発行部数を読み間違えたのか店頭でなかなか見つけることが出来ず買うのに苦労しました。公式サイトの単行本紹介分でもkashmirさんのスペルを間違っているしな…。


ついでに。これを貼った時にはまだ画像なし。アマゾン仕事遅いよ。

時間救助隊タイマー3
能田 達規時間救助隊タイマー3
能田達規先生の…何冊目の単行本だ? 50冊を越えていると思うのですが。久々のSFものでございます。
鉄雄(小学6年生)は天才科学者であった祖父が遺した、着用した人間の行動速度や思考速度を100倍にするSS(スーパースピード)スーツとタイムマシンを使い、近所に住むのぞみねーちゃんと時間操作ロボットデンチューの3人で『時間救助隊タイマー3』として時空を越えた救助活動に挑む。しかしその活躍は救助される人々に知られることはなく、そして一部の人々には誤解されることになるのだった…。
というわけでSFレスキューものなのですが、既存のレスキューものとはひと味違います。事故の発生時間を把握しての救助活動なので時限爆弾でもないのに明確な時間制限があったり、タイムマシンが鉄道型(そりゃあ、能田先生ですから)なのでその発動に制限が発生したり、何より事故が発生してから時間を巻き戻しているので、先に人が死んじゃってるシーンがポコポコ出ます(バイク事故のシーンなんかガードレールで…)。そして確かな作画で背景やメカを描写しているので、現場の緊張感が嫌でも伝わってきます。小学生が主人公なのに、きっちりと「死と隣り合わせの任務」であることを描いていて、それがあるからこそ鉄雄が勇気を振り絞って行動する姿が生きてくるのです。
全一巻で完結なので『おまかせ!ピース電器店』で発揮された多数の秘密道具が登場するような展開にはなりませんでしたが、最終回に登場した…は実に能田メカらしいデザインと活躍を見せてくれました。
しかしこの作品、掲載誌を一度も見たことがありません。今もちゃんと出ているらしいですけどね。そのせいか、単行本も探すのに一苦労。もったいないなあ。

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